御曹司と愛されふたり暮らし
私がなにも言い返せず、思わずシュンとしていると、ハルくんはハッとしたような表情を見せたあと、ゆっくりと私に近づいた。


「ごめん」

そう言って、右手で私の頭をなでる。


「ちょっと強く言いすぎた。その、待っててくれたことも、夕食を作ってくれていたこともうれしいよ。すごいうれしい。でも、今度からはそういうことはしなくていいから。俺のことは考えてくれなくていいから」

そう言って私の頭から手を離した彼は、私の顔を覗きこむようにして、「いいか?」と尋ねてくる。

その表情と声色はさっきよりもやさしく、ちょっと安心するけど。


「……わかった」

そう答える私の心は苦しくて、胸がズキズキと痛んだ。
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