御曹司と愛されふたり暮らし
ハルくんはそう言って私に申しわけなさそうな顔をするけれど。

大丈夫、ハルくんのせいじゃないよ。それに、事情がわかってちょっとスッキリした。


やっぱり、藤森さんはハルくんのことが好きだったんだ。だけどハルくんは、なんとも思っていないみたい……。
私って、最低だよね。ハルくんと話して、彼のその気持ちがわかって、今は少し、安心してる。


「あとなにか、聞きたいことあるか?」

やさしくほほえみながらそう気を遣ってくれる彼に、私はまたドキ、としてしまう。

この感情がバレないように、なるべく明るく、


「じゃ、じゃあ、藤森さんとはそもそもどういう関係なの? 私と一緒で、幼なじみ、とか?」

と、聞いてみると。


「そうだな、花菜と一緒で小学生の時からの知り合いだから、幼なじみになるのかな。小学校は違ったんだけどな。四葉は、俺が通ってたピアノ教室の先生の娘さんだったんだ」

「えっ、ハルくんピアノ弾けたの!?」

あ、しまった。四葉さんの話をしていたのに、つい、そこに食いついてしまった。

でも、でも気になる!!


「別にそんなに上手いわけじゃないぜ。大人になった今でも、実家にいた時はたまに弾いていたけど」

「えええ! 聞いてみたいなあ」

ハルくんとピアノ。想像しただけでしっくりくる。ううん、しっくりくるなんてレベルじゃないかも。きっと、思っている以上に素敵な画になるんだろうなぁ……。


なんて想像しながらついうっとりしそうになっていると、


「……じゃあ、聴くか?」

と、ハルくんが言った。
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