御曹司と愛されふたり暮らし
私は思わず首を傾げてしまう。だって。

「ハルくん、明日も早いんじゃ……」

「明日? 休みだよ。二次会行く気がなくてああ言ったんだよ。もともと今日の合コンだって、人数合わせに無理やり参加させられただけだし」

そ、そうだったんだ。まぁ、自己紹介もそっけない感じだったし、合コンに興味ないのかなっていうのはなんとなく感じていたけど。


「だからさ、どう? もちろん、花菜が嫌ならムリにとは言わないけど」

せっかくハルくんからそう誘ってくれている。なにより、私も。


「う、うんっ。私も、もっと話したい」

私がそう答えると、ハルくんはまたやさしく笑ってくれた。

う、またキュンとしちゃった。

カッコいいのにそんなふうにやさしく笑うなんて、ときめかない女の人は絶対いないよ……。


なにより私にとっては、初恋の人。



その後、私とハルくんは数軒先の小さな居酒屋さんに入り、店の奥のふたり掛けのテーブル席で、ふたりだけのプチ二次会を始めた。

ハルくんはビールを頼んだ。
私もお酒を頼んだ方がいいと思ったけど、お酒は本当にニガテで……。
甘いジュースみたいなサワーなら飲めるかなと思ってメニューを真剣に見つめていると、ハルくんが、

「いいよ。ムリして飲まなくて。酒ニガテなんだろ? あの飲み方見てればわかる」

そう言って、リンゴジュースを頼んでくれた。

二十四歳にもなって居酒屋さんで一発目からジュースなんてなんだか申しわけない。
でも、ハルくんの気遣いが本当にうれしかった。


ううん、一番うれしかったのは、ハルくんが昔と変わらずやさしい人のままだったということ。

そして、そんな素敵な初恋の人と、偶然再会できたこと。
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