御曹司と愛されふたり暮らし
「あっ、あの、手……?」

「あー、悪い。なんか、花菜っていつでもやさしくていい子だからさ、こうしてると、なんか安心する気がして」

彼はそう言って、私の隣でそっと目を閉じた。
どうやら本当に安心してくれているらしい、というのが伝わってくる。


……だけど。


すごくうれしいんだけど、でも。



「……いろいろ思いこんじゃうのは、藤森さんだけじゃないんだよ」

私が静かにそう言うと、彼は目を開けて、私を見つめた。
私の言葉の意味はよくわかっていないようで、キョトンとした表情で私を見ている。


私は言葉を続ける。


「……女性は、ふとしたことで勘違いしたり、思いこんじゃったりするよ。
私だって、そう。
私はやさしくていい子なんかじゃない。
嫉妬だってするし、勝手な思いこみをしたりもする。
今だって……」

そこで言葉につまってしまう。続きが素直に言えなくて。

でも、ハルくんに
「今だって、なに……?」
と聞かれたから。




「こんなふうに手を握られたら、か、勘違いしそうになるから……ッ」

私はそう言って、私の右手を包む彼の手の中から、自分の手をそっと引き抜いた。


顔が、熱い。
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