幕末を駆けた桜


土方の怒っている理由が分からないまま、土方の部屋を後にする。

……土方は後回しだ。取り敢えず、今は山南さん優先だ。


山南さんの部屋の前で、小さく息を吐いてから襖を開ける前に声をかける。


『山南さん、真白です』

『真白…戻ったの⁉︎』


あわてた声色で返ってきた返事に肯定すると、中から凄い物音を聞こえた。


……山南さん?
気のせいでなければ、今書物か何かが倒れたような鈍い音が聞こえたような。


『山南さん、大丈夫ですか?』


心配になって声をかけると、中から大丈夫だと返されてとりあえず安心する。

少しした後、何故か髪と服がボロボロの山南さんが襖を開け、部屋の中を見て絶句した。



『……山南さんって、掃除下手ではありませんよね?』



『そうだね。いつもは割と整っているんだけど。
君が帰って来たと分かって少し浮かれてしまったみたいだ』


明るくそう言って笑った山南さんの表情は、やはり池田屋前とは違ってやつれていた。


……伊東甲子太郎、絶対許さん。

まだ出会っていない伊東甲子太郎を思い浮かべ殺意を燃やしながら、山南さんに促され腰を下ろす。



『ところで山南さん。

……相当疲れているように見えますが…僕のいない間に、何があったんです?』



真剣な表情で山南さんを問い詰めると、重いため息をついた山南さんは、僕に近寄り小声で話し始めた。





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