幕末を駆けた桜
『……別に、長州と話すのはいいけど、何で真白君はそっちに座ってるのさ』
ブスッと、分かりやすく拗ねた表情を浮かべた沖田が僕の隣に座る桂と高杉を一睨みする。
おっと…ここで喧嘩されちゃ困るのは僕なんだ。
意味のわからない理由で拗ねられて話し合いが無かった事になるのだけは避けたい。
『沖田、後で甘味奢ってやる』
だから今は静かにしろと付け加えると、沖田は拗ねた表情から一変、満面の笑みを浮かべて頷いた。
土方はそんな沖田と僕のやりとりを見て呆れたようにため息をついた。
僕が沖田を黙らせた後。誰も口を開けずに長い間沈黙が続いた。
『……取り敢えず、僕としては両方に話し合って貰って同盟を組んでもらうのが1番嬉しいんだが。
そこら辺の事情、分かってて土方や近藤さん、鴨さん沖田はこの対談を了承したという事でいいか?』
そんな中々始まらない話し合いに堪え兼ね、ため息まじりに土方達を見やって返答を促す。
『……そうだよ』
『当たり前だろう』
そんな僕の言葉に、真剣な目で近藤さんは頷き、鴨さんは鉄線を煽りながら口角を上げてそう言った。
その2人の返答を聞き、こちらも鴨さんを見習って口角を上げる。