恋愛覚悟
夜景が朝日に照らされる時
次の週末に江ノ島に連れていってもらった。

いつも夜にデートをしていたので、お昼にりょうちゃんと会うのは、初めてで新鮮だった。

でも、まさかこんなステキなデートの後に、衝撃の事実を知ることになるなんて、この時は、予想もしていなかった。

江ノ島の海を見ながら抱きしめてくれた、彼の胸の中で、何もいらないとそう強く思った。

彼が、「椿ちゃん、彼氏いるの?」そう聞いてきた。とっさに、「りょうちゃんは?」聞き返した。

「いるよ~」さらっと返ってきた答えに、一瞬眩暈を感じた。

続いて、彼がもう一度聞いてきた。「彼氏は、いるの?」いるはずなんてない、けど彼がいると答えた今、いないと答えるのは、誤答なような気がした。
「いるよ」死にそうな声で答えた。

「まさかいると思わなかった」そんな答えが返ってきた。

会話が途切れないように、慌てて「りょうちゃんには、いると思っていたよ」なんて、強がりを言ってみた。

彼女もちの人に片思いの自分を認識したくなかった。悲惨すぎる。

「椿ちゃん、本当のことを言うと、好きなんだ。自分に彼女がいなければ、椿ちゃんに告白していたよ。好きという言葉では表せない。夢中、ほんとに夢中」

「夢中」と言ってもらえた、その言葉だけでもう私は満足していた。そう思ってくれているだけで、元彼にふられて自信をなくしていた自分に自信がもてた。

自分の体の中の血液が燃える赤に変わり、全身から湧き出るパワーを感じ、どんな犠牲を払ってもいいと思えてしまえそうだった。

同時に、心がザワザワし出した。
彼に彼女がいることを知った今、これ以上彼と一緒にいるという選択をすることは悩ましかった。この状況を呪った。いっそもう会えないと言ってくれた方が楽だ。


その日、駅で別れた時にりょうちゃんは手を振ってくれているりょうちゃんを見て、覚悟は決まった。
 
私、これからも彼に会いたい。
 
 次に会ったのは、少し期間があいた。彼を諦めないと決めたものの、やっぱり実際会うのは覚悟がいる。

りょうちゃんが彼女の話をすると、嫉妬で心臓が止まりそうになった。正常に呼吸を続けるので精一杯だった。
彼のそばにいると決めた時から、裏切られても、だまされても彼を信じる覚悟はできていた。

恋愛とは、こういうピュアな気持ちに対して自分で責任をとっていく行為なのだと学んだ。
彼のそばにいる、彼を信じると決めた時から、元彼とつきあっていた時のような、メールがこない、電話がこないといった不機嫌になることが全くなくなった。
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