私をドキドキさせたのは?
「えっ?」

ドサッ!!!

私の要望通り降ろされたけど、ベッドの上で…

直が私に覆い被さっていた。

「…直?」

「ホテルの部屋…俺達、二人だけしか居ないのに…。
俺が何もしないと思った?」

「しない…でしょ…」

また私をからかってるの?

「一回りも歳が離れてるから…大丈夫だって?」

「それもあるし…直の好きなタイプはキレイな人…でしょ?」

「奈央、キレイじゃん…」

そうかな…。

「ありがとう…」

「だから…俺のタイプって事…」

「そう…。でも…」

「奈央ちゃん」

「へっ?」

「俺、昔はそう呼んでたよな?」

「うん…そうだね…」

すごく懐かしい…。

「今は…呼ばないだろ?」

「呼ばないね…」

さっきも“奈央”って言ってたし…。

「それはさ…。何でだと思う?」

「呼びたく…なくなったから?」

「何で…呼びたくないの?」

「何…で?」

「ガキっぽいから…」

「そうかな…」

「いつまでも…ガキに見られたくなかった…。
好きだから…」

好き?

直が? 私を?

「なのに、全然俺を見ないよね…。
男として…」

「直…」

「今も…この状況でも…
俺は何もしないと思ってるんだろ?」

「しない…でしょ?」

「ちゃんと…俺を見てろ…」
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