11時30分に解ける魔法
 11時30分になると解ける魔法、か。

 顔を近づけた添真が、どきりとする間もなく、
「急ぐんだ」
と今すぐなにかが爆発する、くらいの切迫した勢いで言ってきた。

「い、いや、なにを急げばいいのよ?」

 心の底から疑問に思って訊くと、時計を見ながら、切羽詰まった調子で、
「今すぐ、手を出せっ」
と言ってきた。

 その迫力に、思わず、両手を挙げてしまう。

 今、11時27分。

 添真がキレかける。

「なにふざけてんだ。
 左手を出せよっ」
と莉音の手をつかんだところで、添真は息を止めていた。

 黙って、その顔を見つめていると、1分ほど逡巡したあとで、言ってきた。

 いや、1分と言うが、待っているときの1分は、かなり長い時間なのだが。

「け、」

 け?
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