別れるための28日の蜜日
私って意外とMなのかも知れないと考えて、フッと笑ってしまった。こんなに苦しい状況でもちょっと面白がっている人間なんて、意外でもなくM確定だ。

「仕方ないなぁ」

呟きながらバスルームに向かった。このまま起きていても律人の事を考えて不健康な思考になることは避けられそうもない。シャワー浴びて、一本ビール飲んで寝てしまおう。

何にも考えないように機械的にこなして、ビールを一口飲むとそのままビール缶を目に当てた。さっき鏡で見た瞼は泣き過ぎで腫れぼったくなってたから少しでも冷やそう。
寝るときにも冷やしておけば明日は全然大丈夫なはずだ。

そのままぼーっとしてたら涙が頬に流れた。不思議だ。何か考えたら泣いちゃうと思ってたのに、ホントにつらい時は考えてなくても涙が出て来るもんだって初めて知った。

やっぱりさっさと寝ちゃおう、とビールを一気に飲みきってからソファから立ち上がったのと同時にガチャリと廊下のドアが開いた。

「あ、ただいま」

私が起きてると思ってなかったのか、律人は少し目を見開いてる。
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