別れるための28日の蜜日
そしてあまりな展開に大人しくなった私を連れて自分の部屋に戻り、ゆっくりと説得に入った。


本当は転職する前にプロポーズして、その時に一族の話もするつもりだった事。その為に指輪も買ってタイミングを見計らっていたのに、急に転職時期が早まった事。転職したら自分に与えられた立場に自信がなくなってプロポーズ出来なくなってしまった事。

「でも、全然結婚する気配がないのは相手がいないんだろうって縁談を持って来られるようになってさ。冗談じゃないって、相手はちゃんといるんだって見せる為に一族のパーティに百合を連れてったんだ」

紹介されたりはしなかったけど、あのパーティでお祖父さんは私の存在を確認していたらしい。私と直接話すのはちゃんとプロポーズしてからだと言ったら随分拗ねていたと苦笑しながら教えてくれた。

「でも律人、全然そんなそぶりなかったし。将来の話とかものってくれなかったし‥‥」


もそもそと反論したけど、甘さ全開にしてひとつひとつ説明されたら、それ以上食い下がれなかった。


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