別れるための28日の蜜日
律人は早く帰って来てくれた。私の予想通り。

優しいからきっと一生懸命急いでくれたんだろう。私が1人で寂しくないように。

エントランスでわざわざインターホンを鳴らして帰宅を教えてくれた律人をドアまで迎えに行く。

「おかえりなさーい」

「‥‥ただいま」

ちょっと照れて答える律人が、あれ?と辺りを見回す仕草をした。

「もしかして夕飯作ってくれた?」

「あ、うん。時間もあったし」

へへっと答えながら、ちょっとしたイタズラ心が湧く。

「律人、お風呂にする?ご飯にする?それとも‥‥‥」

あ、ダメだ。自分で言ってて恥ずかしくなってきた。

かあぁっと赤くなる顔を意識して俯いたら、律人の手が頭をポンポンと叩いた。

「自分で言ってて、何恥ずかしがってんの。そんな顔されると、こっちも恥ずかしくなるだろ」
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