別れるための28日の蜜日
冗談めかして、私の席の横に来た町田さんを睨むフリをする。もちろん、その手に持っている書類にも視線を流しながら。

「先に言われちゃうと言いづらいなぁ。でも明日までで大丈夫だから、頼むよ」

ハハッと笑いながら書類を私のデスクに置いて、拝むように手を合わせる。

そんな風に頼まれると断れない。はぁっと大袈裟にため息を吐いて、仕方ないなぁと書類を受け取る。

「そんなため息つかないでよ。ケーキバイキング、奢るからさ」

先週話した事を覚えていてくれたんだ。

「そんな事言って、町田さんが行きたくなったんですね?」

「バレたか。こないだ話して、行けるんだと思ったらウキウキしてきちゃって」

ホントに嬉しそうに言う。そんなに好きなんだ、ケーキ。

「そうですね。じゃあ予定決めないとですね。でも、奢って頂かなくても大丈夫ですよ」

今週出張があると言っていた律人の予定に合わせて行こうかな。その時にお願いしてみよう。
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