摩天楼レボリューション
摩天楼レボリューション
なるべく若くて優しそうで、そして身形が良い人を選ぼう。

そういうタイプなら女性には不自由していないだろうし、がっついて来る心配もないだろうから。

外気温よりも更に、凍てつく心を抱えながら、イルミネーションで彩られた街路樹の下で、目の前の歩道を行き交う人々を凝視していた私は、ほどなくして理想通りのターゲットを発見した。


「あの、すみませんっ」


素早く駆け寄り、その人物の行く手を遮るようにして立ち塞がると、決死の覚悟で言葉を発する。


「こ、今夜私と、付き合ってもらえませんか!?」

「えっ?」


当然の事ながら、突然目の前に現れ、爆弾発言をかました私のことを、相手は驚きの声を上げつつそれと連動した表情で見つめ返して来た。

20代半ば、私より15センチほど長身の、細面ですっきりとした顔立ちの男性。
私の身長は160センチで、なおかつ今現在5センチヒールのブーツを履いているので、背丈は180前後はあるという事だ。
世間一般的には文句なく「イケメン」の部類に入ることだろう。

黒髪をきちんとセットし、スーツにネクタイ、コートという、いかにもこれからお洒落な場所に赴くのだろうな、というのが如実に分かる出で立ちであった。
そしておそらくは恋人と一緒に。

だって今日はクリスマスイブで、なおかつ日曜日。
こんなカッコいい人が、そんな日に一人ぼっちで過ごすハズがない。
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