摩天楼レボリューション
といっても、私達が案内されたテーブルは窓際ではなかったので、見渡せる範囲には限界があり、間近で夜景を堪能するのは無理だったけど。

それでも、これだけの絶景を遠目に見つつ一流のお料理を味わえる事に変わりはなく、本来の自分の立場ではあり得ない贅沢さであった。


「お食事の前に、お飲み物はいかがでしょうか?」


椅子に腰かけた私達の膝の上にナプキンを置いたあと、スタッフさんがそう問いかけて来た。


「えっと…。それは食前酒って事ですよね?」

「さようでございます」

「いえ。そちらは必要ないです」

「かしこまりました」


黒須さんの返答を受け、スタッフさんは会釈すると、その場から立ち去った。

「食【前】酒」という事は、料理の最中は別のお酒をチョイスするという事で、黒須さんは今の段階ではまだいらないと判断したのだろう。
そんなに何杯も液体を口にしてたらお腹がタプタプしちゃって、せっかくのご馳走が堪能できなくなっちゃうかもしれないもんね。
そして私が未成年であるという事は彼はすでに把握しているので、当然、お酒を飲むか否かを私には確認して来なかった。


「こちら、料理のメニューでございます」


再び現れたスタッフさんは、薄いアルバムみたいなそれを黒須さんと私の席の前に置くと、解説した。
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