摩天楼レボリューション
「一年前にしようとは思わなかったんですか?確か去年のイブは土曜日でしたよね」


それこそ絶好の機会だったと思うんだけど。


「いや、その時点ではまだ恋人に昇格して二ヶ月弱だったし、なおかつお互い社会人になって3年目だったから。結婚を申込むにはちょっと早すぎるかな、と」

「あ、そうだったんですね」

「それに、プロポーズの準備なんか全くできていなかったし。だから余裕をもたせて一年後にしようと思ったんだ」

「……それがどうして今、私と食事しているのでしょうか?」


黒須さんは『ふ』、と哀愁漂う笑みを浮かべながら答えた。


「その辺は察してくれよ…」


……要するに振られちゃったってことか。

せっかく色々計画していたみたいなのに。
こんなカッコイイ人でも、そんな残念な目に遭うんだな。

いつ、どのタイミングで破局したのかは分からないけど、もし指輪なんか買っちゃってたりしたら切なさが倍増だよね。


「あ。そういえば」


そこでふいにその事に思い当たった。


「さっき、フロントに寄ってましたよね」

「うん」

「という事は、お部屋も取ってあるんですか?」

「もちろん。レストランで食事した後部屋に移動してくつろぐ、ってのはお約束の流れだから。そこは外せないよ」


黒須さんはコックリと頷きつつ返答した。
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