摩天楼レボリューション
「うん。中、高、大学生にね。教育方針が『ゆとり』からまた『詰め込み型』に移行しつつあるだろ?それについての特集を組む事になったから」


ケースを仕舞いながら黒須さんは解説を続ける。


「その変遷をリアルタイムで体感し、なおかつ一番翻弄されているであろう君達世代の、嘘偽りのない声を聞かせてもらおうというコンセプトで。といっても、本来は予め協力者を募り、何人かずつグループ分けして編集部に呼び寄せて、回答してもらうっていう流れなんだけど」

「え?それじゃあ…」

「でもそんなシステムは部外者には分からないから。君は急遽取材を依頼されたって事にしておけば良い。雑誌掲載の際は当然個人名は伏せるから、誰がどの回答をしたかなんて事はこれまた当事者じゃないと分からないし。そもそも、すべての意見を採用する訳じゃないしね」


そこで黒須さんは意味ありげな笑みを浮かべた。


「それなら、君をけしかけたあの子達に言い訳が立つだろ?『現代の教育現場についてあれこれ聞かれた。内容はよく覚えてない。気になるなら発売された雑誌を見て』って言って後は知らんぷりしとけ」

「え!?け、けしかけるって、そんな…」

「図星だろ?さっきの君達の様子を見てればその関係性は一目瞭然だよ」


黒須さんはとっさに言い繕おうとした私をやんわりと遮った。
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