摩天楼レボリューション
それを言ったらホテルの方だってそうだよな、と。

むしろそっちこそ、アポなしでの利用は無理なような気がする。

さっきはテンパっててとっさにそこまでは考えが及ばなかったけど。


「もちろん、ばっちり予約してあるよ。しかも一年も前からね」

「へっ?」


さらっと発せられた黒須さんの回答に更に驚愕しながらも私は質問を重ねる。


「予約って…だったら、誰か他の方を連れて来る予定だったんじゃないんですか?なぜ私なんかを…」
「いいからいいから。とにかく行こう。約束の時間が迫ってる」


そう急かされながら再び黒須さんに背中を押され、私は大いに戸惑いつつも歩き出した。


「あ、ちょっとごめん」


エントランスに入った所で、彼は私をその場に残し、フロントへと向かうと、何やらやり取りを終えて戻って来た。


「お待たせ。行こうか」


そのまま今度はエレベーターホールへと歩を進める。


「えーっと、53階に行くにはっと…」


黒須さんは案内板を見ながら呟いた。
エレベーターは何基もズラリと並んでいて、どうやら行き先毎に分かれているらしい。


「あ、あっちか」


すぐに目当てのエレベーターを見つけた黒須さんはすかさずそこまで移動し、【△】ボタンを押した。
到着した箱に乗り込み、上昇を始めた所で私はポツリと呟く。


「…なんか、とんでもなく滑らかなんですね」

「ん?」
< 9 / 56 >

この作品をシェア

pagetop