摩天楼レボリューション
「このエレベーター。動いてるって感覚が全くないです」
「ああ、ホントだよな。…って、今、耳が『キーン』ってならなかった?」
「いえ、私は大丈夫ですけど…」
「参ったな。俺、飛行機とか新幹線なんかでも、必ずこうなるんだよね」
黒須さんは顔をしかめながらそう解説すると、すぐさまゴクン、と喉を鳴らして唾を飲み込んだ。
気圧の変化によって生じる耳鼻咽喉への不快感を払拭させる為のお馴染みの対処法。
その必死さが可愛らしくて、思わず笑いを漏らしそうになったけど、寸での所で思い留まる。
今の私はそんな能天気なリアクションをしている場合じゃないと思い至ったから。
男性を逆ナンし、逃げるタイミングを失って、どういう訳だかそのまま高級フレンチをご馳走になる事になってしまった。
冷静に考えたら何てハチャメチャな展開なのだろう。
この先に何か重大な落とし穴があるんじゃなかろうか…と勘繰ってしまう。
しかしそれでも、何故か私はさほど抵抗せずに黒須さんの意向に従ってしまっているのだった。
何だかもう、自分でも何が何やらよく分からない。
そんなこんなで箱はあっけなく53階に到着した。
廊下へと出て、黒須さんの後に続いて歩を進め、レストラン前にたどり着く。
「じゃ、コートを脱ごうか」
「え?」
「こういうとこに入る際は、あらかじめ上着を脱いでおくのがベターなんだってさ」
「あ、そ、そうなんですね」
「ああ、ホントだよな。…って、今、耳が『キーン』ってならなかった?」
「いえ、私は大丈夫ですけど…」
「参ったな。俺、飛行機とか新幹線なんかでも、必ずこうなるんだよね」
黒須さんは顔をしかめながらそう解説すると、すぐさまゴクン、と喉を鳴らして唾を飲み込んだ。
気圧の変化によって生じる耳鼻咽喉への不快感を払拭させる為のお馴染みの対処法。
その必死さが可愛らしくて、思わず笑いを漏らしそうになったけど、寸での所で思い留まる。
今の私はそんな能天気なリアクションをしている場合じゃないと思い至ったから。
男性を逆ナンし、逃げるタイミングを失って、どういう訳だかそのまま高級フレンチをご馳走になる事になってしまった。
冷静に考えたら何てハチャメチャな展開なのだろう。
この先に何か重大な落とし穴があるんじゃなかろうか…と勘繰ってしまう。
しかしそれでも、何故か私はさほど抵抗せずに黒須さんの意向に従ってしまっているのだった。
何だかもう、自分でも何が何やらよく分からない。
そんなこんなで箱はあっけなく53階に到着した。
廊下へと出て、黒須さんの後に続いて歩を進め、レストラン前にたどり着く。
「じゃ、コートを脱ごうか」
「え?」
「こういうとこに入る際は、あらかじめ上着を脱いでおくのがベターなんだってさ」
「あ、そ、そうなんですね」