Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
「あこ!?
…そんな格好で何処行くのっ!?」
お母さんの声。

『…あっ!!』
パジャマのまんま。
でもっ…

格好なんて!
そんなのどうでもいいんだ。

今、伝えなきゃいけない事があるんだ。

伝えなきゃいけない人がそこで、寒さに耐えて待ってるんだ!!


辛い時。
苦しい時。
泣いてる時。

…救ってくれたのは
真っ暗な世界からあこを救ってくれたのは。

『ケンッ!!!』

角から少しだけ見える、ジャケットの裾がビクン!と揺れた。

そっと角から人が出てきた。

…やっぱりね。

『…ケン。』

「あこ!!その格好!!…バカっ!寒いだろっ?」

ケンはジャケットを脱いであこの肩に掛けてくれた。

格好なんて、どうでもいいよ!
寒くないよ!!

ケンはどうして、そうなの??
自分だって寒いくせに…
いつからここに居た?

『ケン!
あこは、このリングは外さないっ!!
決めたからっ!

あっちゃんは、別れる前に言ったの。
あこの大好きな親友、家族、これからする新しい恋、大切にしろよ…って。

だから…だからっ…』

ぎゅぅぅ。

「あこ…寒いだろ?
バカだなぁ(笑)
10時に来ればいいのに(笑)」

バカはケンだよ!!
10時って言ったのは、ケンだよ。
10時に来ればいいのに。

「本当にいいのか?
俺で…いいの?」
また声が震えてるよ?ケン…

『うんっ!決めたのっ!』
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