不思議の街の不思議な話

見知らぬ天井



目が覚めたら、また知らない天井があった。そこが、私の元いた世界の部屋の天井だったら良かったんだけど、案の定そうは問屋が卸さない。

かといって、それは最近見知り始めた、レイリーの趣味が全開のファンシーな天井でもなく、一度だけ見たブランの家のあの屋敷の天井でもなく、ド派手なシャンデリアが眩しい見慣れぬ天井だった。


最後に意識があった時に見たのは、怖い顔をしたザッカリーの顔と、その背後でぼやけた部屋の天井だったが、今の場所にどうして至ったのかは全く見当がつかない。


しばらくボウっと天井を見つめていたが、やがて寝返りを打てば、鈍く走った喉元の痛みと、ふわっと香ったバラの香りでまた目眩がした。
< 124 / 164 >

この作品をシェア

pagetop