不思議の街の不思議な話


「俺とリアムは、討伐隊のメンバーなんだけど、今日は奥地に派遣されたらこのワンちゃんに出会ってさ、」

アルトが聞き捨てならないというように顔を顰めた。"ワンちゃん"は禁句なのだろう。

「討伐隊...ってモンスターをやっつける人?」
「そうモンスター、魔獣、恐竜....、色々な呼び方をされているアレをやっつける闘う公務員。」

ライアンがケラケラ笑う。その横で、先ほどリアムと呼ばれた男が溜息を吐いて言う。

「副隊長が不在なだけに、今日は大変だった。」
「ブランのこと?」
「そうそう。あの人は副隊長だけど、戦闘能力は一番だからな。大きな恐竜とか一人でぶっ飛ばすし。」

言われて、ブランと初対面時に襲ってきた巨大な魔物を思い出す。当時はこの世界の住民はみんなあのくらい難なくやってのけるものなのかと思ったのだけど...。
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