甘々なボスに、とろけそうです。


里香子さんが、荒っぽくワイングラスをテーブルに置いたものだから、一瞬割れないかヒヤッとした。


「里香子、ペースはやすぎ。明日も仕事だろ」


兄が、苦笑いして里香子さんを見る。


「これくらい、たいしたことないわよ。お代わり頂戴~!」


『やばいな、これは……』なんて頭を抱える兄の様子から察するに、里香子さん、あまりお酒に強くないのでは。まさか、酒乱というやつですか。


「ミコちゃん!!」


「は、はいっ!」


「兄さんはね、見てくれはヤクザみたいで――〝鬼〟なんて言う人もいるけど。立場上、誰にも弱いとこ見せられないと思うの。それが妹として、ずっと心配だったの」


「里香子さん……」


「きっとね、経営者ならではの苦悩も、孤独さも、誰とも分かち合わずにのし上がってきたの。とっくに身も心も悲鳴をあげていてもおかしくないのに、平気な顔して、見た目はピンピンしてるの」


ボスに初めて会ったときの気迫は凄かった。無敵というような雰囲気で。弱音など似合わないような、そんな人。


「そんな兄さんが見つけた〝癒し〟――それが、ミコちゃんよ」


私が、ボスの、癒し……!?

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