男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
どうやら妹君は、口が達者な様子。
たしなめても言い返されている殿下は、クロードさんへの文句を口にしつつも、微笑んでいた。
穏やかな青い視線は、妹君への慈愛に満ちている。
以前、長話をする女性が苦手だというような話をしていたが、妹君だけは違うようだ。
仲の良さそうな兄妹の様子に、私も双子の兄である、本物のステファンを想って、会いたい気持ちになっていた。
男のくせに臆病で情けないステファンだけど、いいところもある。
お菓子はカットの大きな方を私にくれるし、私が初めて夜盗を捕まえた日、両親に叱られて拗ねていたら、『ステファニーは勇敢だね』と兄だけは褒めてくれた。
真逆の性格をした私たちだけど、仲は良かったんだよね……。
大公殿下の妹君を見ながら、今頃、兄はなにをしているだろうと考えていた。
物思いに耽りながら、私にじゃれつく可愛らしい顔を、ついじっと見つめてしまったら、彼女の頬がリンゴのように赤く染まった。
それを見て、ハッ我に返り、焦り始めた。
私は今、男としてここにいるのに、女性に対して失礼な振る舞いを……。