男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
慌てて「リリアーヌ様、すみませんでした」と謝ると、彼女は頬を染めたままに、ニッコリ笑って言った。
「ステファンには、リリィと呼んでほしいの。
だって、そうしないと、呼び捨てにしてる私だけが、礼儀知らずの子供みたいに思われるじゃない」
私のような底辺貴族のみならず、他の有力貴族に対しても同じように接しているとしたら……彼女は礼儀知らずの子供に違いない。
しかし、私には礼儀よりも、こうして無邪気に好意を示されるほうが嬉しく思えた。
もし私に妹がいたら、こんな風に姉妹の時間を楽しめただろうかと考えて。
それで、彼女の申し出を辞退することなく受け入れた。
「それでは、そう呼ばせてもらいます。
リリィ、今日は晩餐に招待してくれて、ありがとうございます」
リリィの希望で、私の席は彼女の隣となる。
そして、和やかに楽しい晩餐が始まった。
リリィが知りたがるので、私は実家での暮らし振りを話す。
「うちの領地は小さな村と畑ばかりなのですが、それでも家にこもるより外に出た方が面白いので、僕はよく馬に乗って……」
なんのことはない、田舎貴族の遊び方なのだが、リリィはそれが珍しく貴重な話であるかのように聞いてくれた。