男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
そう思いつつ「なにかおかしな点がありましたか?」と聞いたら、大公殿下が不思議そうな顔をして、感想を口にした。
「いや、おかしいとまで言えないが、珍しい兄妹だと思ってな。妹の方が背が高いとは」
それでやっとミスに気づいた私は、肝を冷やした。
一般的な男性よりは華奢な体型のステファンだけど、男女の差があるから、私より拳ひとつ分は背が高く、体重も幾らか重い。
自分より重い者を背負っての丘越えの大変さを伝えたかったのだが……兄より体格のよい妹というのは確かに珍しく、疑問に思われて当然だった。
慌てた私は作り笑顔を浮かべて、言い訳する。
「その話は、僕たちが十二歳の、子供の頃の話なので……今はもちろん、僕の方が背が高く、体重もあります」
背中に冷や汗が流れ落ちていた。
本当は十二歳ではなく、十五歳の去年の話。
この嘘の説明で納得してくれなかったらどうしようと危ぶんでいたのだが、リリィがパチンと手を合わせて嬉しそうに言った。
「十二歳って、私と同じ歳ね!
ねぇ、アミルお兄様、私もステファンの妹のように、馬に乗せてもらいたいわ。遠乗りに連れて行ってよ」