男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
妹の頼みを「今度な」という一言で片付け、大公殿下はグラスに半分ほど入っているワインをひと口で飲み干した。
私たちの目の前の皿は空になっていて、それが下げられるとすぐに、メイン料理のウズラのソテーが運ばれてきた。
「今度って、いつ?
お兄様はいつもそう言って、私を屋敷に閉じ込めるのよ。つまんない」
不満を口にするリリィが、ウズラ肉にナイフを入れたとき、ドアがノックされ、返事を待たずに開いてクロードさんが入ってきた。
いつもの黒い執事服ではなく、深緑色の上着を着て、マントを羽織った姿だった。
そう言えば、三日前の執務室で、クロードさんに書簡を待たせて隣国に使いに出しているという話を聞いた覚えがある。
クロードさんはその使いから、今帰ってきたということみたい。
「ただ今、戻りました」と、クロードさんはドア前で頭を下げる。
それからリリィと私に目を向けた。
「リリィ様、ご機嫌よう。今宵はステファン様もご同席とは、楽しそうですね」
「ええ、とっても楽しいわ!」
「それは、ようございました。
大公殿下、お邪魔でしたら、後ほど報告に参りますが」