男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
「え?」と驚いた理由は、少年の髪が金色で描かれていたからだ。
子供の頃は金色で、大人になると銀色に変わるという、不思議な体質の家系なのかと考えた。
しかし今は亡き、前大公とお妃様は、ふたりとも金髪で、遺伝的なものではないと、その考えを却下する。
疑問はもうひとつあった。
小さい方の少年は、弟君……?
大公殿下の襟元にいつも締められている黒の棒タイ。その意味は、弟君の喪に服しているためなのではないかという疑問が、再燃していた。
左側にある肖像画から目を離し、右隣に座るリリィに顔を向けた。
疑問をモヤモヤと感じたままでは気分が悪いので、今ここで解決させたい思いでいた。
リリィに聞いてもいいだろうか?
大公殿下に弟君のことを尋ねたとき、急に不機嫌そうにされたことを思い出していた。
でもリリィは殿下と違って明るい口調で肖像画の説明をしてくれたし、「どうしたの?」と聞くその顔は、ニコニコと楽しそうだ。
それで、言葉を選んで聞いてみた。「小さい方の少年は、今どちらにいらっしゃるのですか?」と。