男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
すると、それまでは明るい調子で答えてくれたリリィが、可愛い顔を曇らせ、しょんぼりと肩を落とした。
慌てた私が「すみません、余計なことを言いました」と謝ったら、彼女は首を横に振って少しだけ微笑んでくれた。
「違うの。不思議に思って当然だから、ステファンは悪くないわ。
でも銀色の髪は、アミルお兄様の深い悲しみを表しているから、それを思うと私も悲しくて……」
リリィは切なげな顔をしながらも、話してくれた。
大公殿下にとって父親の死は、病を患った末のことで覚悟はできていたが、弟の死は突然だった。
弟を事故で失ったショックが大き過ぎ、大公殿下の金色の髪は、一夜にして銀色に変わったということだ。
幼かったリリィは、七年前の出来事の記憶がほとんど残っていない。
だから過去を悲しむというよりは、元に戻らない兄の銀髪を見て、兄の心は今も深い悲しみの中にあるのではないかと、それを心配し、心を痛めているようだ。
その話を聞いた私は、やはり初めの推測が正しかったのだと判断する。
黒の棒タイを締めている意味は、弟君の喪に服しているため。
七年前からずっと弟君の死を痛み、今後も黒の棒タイが外されることはないのだろうと……。