男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
私まで暗い表情になってしまい、それに気づいたリリィは無理やり笑顔を浮かべた。
「ステファン、あのね。私、アミルお兄様の前ではいつも笑顔でいることにしてるの。だって私まで悲しい顔をしていたら、お兄様はもっと悲しむでしょう?
だから、笑って、ときどきワガママを言って困らせることにしているの。きっと、そのくらいがちょうどいいのよ」
リリィはそう言いながら、可愛い顔の目尻に皺が寄るほどの笑顔を作っていた。
初めは、子供らしく無邪気だと思っていたけれど……騙された。
このお姫様は年齢以上に思慮深く、なんて賢いのだろうと、感心していた。
深く頷いた私は、リリィに負けじと笑顔を作る。
そして、皿に残っていたウズラのソテーを大口で頬張って「美味しい!」と言った後に、ウズラの鳴き真似をしてみせた。
リリィが声を上げて笑い、私もお腹を抱えて大袈裟なほどに笑って見せる。
するとノックもなくドアが開き、「随分と楽しそうだな」と大公殿下が戻ってきた。
「お兄様、ステファンったら面白いのよ!
ウズラの鳴き真似が上手なの」