男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました

殿下が席に座り、すっかり冷めてしまったウズラ肉にナイフを入れながら、口角を上げて私を見る。


「へぇ、それは是非、聞かせてもらいたいな」


殿下の前でのウズラの真似は……。

リリィが相手なら、おどけてふざけることができても、大公殿下の前では無理だ。

銀髪と黒の棒タイに、チクリと胸が痛んだからという理由ではなく、乙女の恥じらいに似たような、照れ臭さを感じていた。


こんな男勝りな私が恥じらうなんてと、自分に疑問を投げつつ、場の雰囲気を壊さないような断り方をした。


「ウズラの鳴き真似は、鍛錬を積み重ねた末に会得したもので、そうそう簡単に披露するわけには参りません。リリィはとても可愛らしいので、特別です」


そう言うと大公殿下は噴き出して笑ってくれて、リリィは喜んだ。


「私とステファンの秘密ということね!」

「なんだお前ら、俺だけ除け者か?
そんな生意気なことを言ってたら、剣術大会への参加を認めてやらんぞ」


ワイングラスを片手にニヤリと意地悪な笑みを浮かべる殿下。

私は目を瞬かせて「剣術大会とは、なんでしょう?」と初めて聞く言葉の説明を求めた。


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