男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
「七番に一ポイント!」と審判が声を上げた。
九十八番の男は驚きを顔に浮かべた後、悔しそうに顔を歪め、今度は横に構えた木刀で薙ぎ払ってきた。
この人……弱い。
力任せで単純で未熟な攻撃が、私に当たるはずがない。
ほんの少し膝を落として頭を下げ、横からの一撃をかわした私は、低い姿勢のまま、ツーステップで相手の懐に潜り込んだ。
そして剣先ではなく、柄で男のみぞおちを軽く突くと……彼は「うっ」と呻いて、そのまま後ろにすってんころりん。
背中とお尻を石畳に打ち付けていた。
すぐに起き上がって、木刀を構え直した男。
しかし、背中のバラは転んだ拍子に潰されて散り落ちている。
それを確認した審判が「二ポイント先取で、勝者、七番!」と声を上げ、アッサリと一回戦は終わってしまった。
木刀を下ろした私は、悔しそうな対戦相手に「ありがとうございました」と頭を下げつつ、考える。
そうか、背中のバラは直接、剣で落とさなくても、こういう散らし方があるんだ。それなら……。
既に次の試合について考え始めていたら、ワッと一際、闘技場が沸いて、驚いて肩をビクつかせた。