男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました

周囲を見回すと、どうやら観客の拍手と歓声は私に向けられているみたい。

小柄な少年が、長身の男にアッサリ勝利したことで興奮しているのだろうか?

悪い気はしないけれど……これくらいで驚いてもらっては困る。

私は優勝するつもりで、ここに立っているのだから。


一回戦の全試合が終わるのに、午前中いっぱいを消費した。

出場者全員に、パンとミルクが配られ、それを食べたあとは二回戦が始まる。

二回戦の相手は、筋骨隆々の縦にも横にも大きな男。

一回戦の相手よりは手応えがありそうに見えたのに……結果は私の圧勝。

この男も力任せに木刀を振るうだけで、剣術になっていない。

試合後に勝利を喜ぶというよりは、物足りなさを感じてしまった。


三回戦、四回戦も難なく勝ち進んだ私は、いつの間にか観客たちを虜にさせていた。

「美少年剣士、次も勝ってくれよー!」という声援が送られて、少々恥ずかしい。

私は注目を集めたいわけじゃなく、純粋に試合を楽しみたいだけなのに。



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