男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
太陽が西に傾き始めた頃、順当に勝ち星を重ねた私の準決勝が始まろうとしていた。
スタート時には半分しか埋まっていなかった観客席も、今は満員御礼で、立ち見の客まで出ている。
林檎やワインを売る少年が、忙しそうに客席の間を動いているのが見えた。
「準決勝、ふた組目。七番対二十三番」
審判の声で、私は正方形のラインの内側へ。
これまでの試合同様、観客席のあちこちから私への声援が投げかけられ、賑やかで騒がしい……と思ったら、一瞬静かになり、その後にザワザワし始めた。
今までの観客の反応とは明らかに違っていて、気になって周囲を確認したら、銀色の髪をした見目好い青年が闘技場に現れたところだった。
それはもちろん大公殿下。
その横にはリリィの姿もあった。
御前試合だとは聞いていないのに、どうして……。
青の騎士団の旗が掲げられた壁際には、いつの間にか赤絨毯が敷かれ、椅子が二脚、並べられていた。
優雅な足取りでそこへ向かう殿下が、私の横を通り過ぎる。