男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました

公平を意識してか、話しかけてはくれないが、チラリと視線を私に向けて、口の端を上げて微笑んでくれた。

リリィは無邪気に手を振り、「ステファン頑張ってね!」と声を掛けてくれる。


控え目に手を振り返し、私はゴクリと唾を飲み込んだ。

大公殿下が私の試合をご覧になる……これは今までの試合にはない緊張だ。

でも悪い緊張ではない。むしろ嬉しくて、ますます気合が入るというものだ。


「始め!」の合図で、木刀を握る右手に力を込めた。

相手の二十三番の男は、中肉中背で、あまり強そうには見えないが、ここまで戦ってきて、大柄な男より、こういう人の方がやっかいだと学んでいた。

一重の細い瞳は、私の小さな動きも見逃すまいと鋭く観察していて、体格に劣る私を侮ってはいないようだ。


木刀がぶつかり合う。

すばしっこい私がラインいっぱいに動き回っても彼はちゃんとついてくるし、誘いをかけても釣られてくれない。

何度、木刀を弾いても、剣先は常に私の胸のバラを狙っていた。

ここまで勝ち進むだけあって、やっぱり強い。今までの対戦相手とのレベルの差は桁違いだ。


でも……勝つのは私よ!


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