男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
相手の剣先を、わざと紙一重で避け、彼が防御に移れないうちに背中に回り込み、まずは背中のバラを散らした。
その後は焦って追いかける相手をライン際に誘い込み、胸のバラを狙うと見せかけて、脛を攻撃。
ラインを踏み越えさせた。
試合時間は刻々と過ぎていく。
私が優勢のまま砂時計は落ちて、「そこまで!」の声を聞いた。
完全勝利とはいかなかったが、私が一ポイント、相手はマイナス一ポイント。決勝に進むのは私に決まった。
今の試合は楽しかった……。
感謝を込めて対戦相手に頭を下げ、闘技場の端まで移動してから石畳に腰を下ろし、体を休める。
赤絨毯の敷かれた上座を見ると、大公殿下が近くの騎士を呼び寄せていた。
それはジェフロアさんで、殿下になにかを命じられた様子。頭を下げると、すぐにその場を離れていた。
その後はリリィが楽しそうな顔をして大公殿下に話しかけていて、それに応じる殿下も満足そうな笑みを浮かべている。
遠くからその様子を見ている私は、よかったとホッと息を吐き出した。
どうやら私の準決勝は、観覧に値するものだったみたい。
残すは決勝。次も勝利して、大公殿下とリリィに喜んでもらいたいと思っていた。