男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました

その指示に、反射的に体が従っていた。

一歩前に踏み込むと、突き出された木刀が私の脇の下を抜けて、肩と肩が激しくぶつかった。

弾かれた私は尻餅をつき、体格差がほとんど変わらない彼も同じように弾かれて、石畳に背中を打ちつけていた。


ちょうどそのとき、「そこまで!」と、試合終了の合図が聞こえる。

楽しい時間が終わってしまった。

勝者は団長の息子で、敗者は私。
そう思っていたのだが……。


なぜか勝ち名乗りは上げられず、協議となった。

審判の周りに、クレマン団長を含めた五人の騎士が集まって、なにかを話し合っている。

観客たちは騒ついて、その中に「七番の勝ちじゃないか?」という声があり、私は戸惑うばかり。

胸のバラは散らされずに済んだけれど、背中のバラを散らされ、白線も一回踏んでいる。

ポイント差で明らかに彼の勝ちだと思うのに、どうして……。


立ち上がった団長の息子は悔しそうに唇を噛んでいて、それについても首を傾げるところだった。


不思議に思いつつも私も立ち上がり、協議が終わるのを待つ。

少ししてから先ほどの審判が、声を張り上げるようにして観客に説明を始めた。


「ただ今の決勝戦は……」

< 130 / 355 >

この作品をシェア

pagetop