男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
その指示に、反射的に体が従っていた。
一歩前に踏み込むと、突き出された木刀が私の脇の下を抜けて、肩と肩が激しくぶつかった。
弾かれた私は尻餅をつき、体格差がほとんど変わらない彼も同じように弾かれて、石畳に背中を打ちつけていた。
ちょうどそのとき、「そこまで!」と、試合終了の合図が聞こえる。
楽しい時間が終わってしまった。
勝者は団長の息子で、敗者は私。
そう思っていたのだが……。
なぜか勝ち名乗りは上げられず、協議となった。
審判の周りに、クレマン団長を含めた五人の騎士が集まって、なにかを話し合っている。
観客たちは騒ついて、その中に「七番の勝ちじゃないか?」という声があり、私は戸惑うばかり。
胸のバラは散らされずに済んだけれど、背中のバラを散らされ、白線も一回踏んでいる。
ポイント差で明らかに彼の勝ちだと思うのに、どうして……。
立ち上がった団長の息子は悔しそうに唇を噛んでいて、それについても首を傾げるところだった。
不思議に思いつつも私も立ち上がり、協議が終わるのを待つ。
少ししてから先ほどの審判が、声を張り上げるようにして観客に説明を始めた。
「ただ今の決勝戦は……」