男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
クレマン団長の答えは「冷静さを失った者と、心を乱さなかった者の違いだな」というものだった。
頭の中で試合を振り返る。
私はただ楽しくて、絶対に勝ってやるという気持ちも、負ける不安も消えていた。
心を乱さずに済んだのは、楽しむことができたせいだろうか?
だとしたら、試合前に私に話しかけて、不安から救い出してくれたジェフロアさんのお陰ということで……。
そこまで考えたときに、ふと気づく。
そうだ、ジェフロアさんは私のところに来る前に、大公殿下に呼ばれていたんだ。
もしかして、ジェフロアさんが甘い飲み物を差し入れてくれたのも、私の気持ちをほぐしてくれたのも、大公殿下に指示されたからということだろうか?
じゃあ、真っ先にお礼を言うべき相手は、大公殿下なのかも……。
ジェフロアさんを寄越してくれたこと以外にも、感謝したいことがあった。
最後の逆転劇は、殿下の『踏み込め!』という言葉を聞かなかったら、起こらなかったことだろう。
どちらかに加担することは控えねばならない立場にあるのに、つい私に声をかけてしまったというその心を、どのように解釈すればいいのか……。