男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
以前、教育仲間のエドガーに、『大公殿下のお気に入り』と言われたことを思い出していた。
晩餐に招待されたのは私だけのようだし、こうして試合でも私の味方をしてくれるし、私って……エドガーの言う通り、大公殿下のお気に入りなのだろうか?
そう思った途端に、心の中が忙しくなる。
甘酸っぱい想いが込み上げて、なぜだか顔が熱くなる。
脳裏に勝手に蘇るのは、長椅子に押し倒されたときの光景で、頭から湯気が出そうなほどに恥ずかしくなった。
「ステファンどの?」
ひとり恥ずかしがるおかしな私に、クレマン団長が声をかけ、訝しげな目で見てくる。
闘技場で私はなにを妄想しているのかと焦ったら、視界の端に銀色の髪が揺れた。
ハッとして右横を見ると、いつの間にか大公殿下が私の隣に立っていた。
「なにを赤くなっている。優勝に興奮しているのか?」
からかうようなことを言う、その口元には、満足げな笑みが湛えられていた。
優勝に興奮しているわけじゃないけれど、赤面の理由を口にすることはできず、私は頷く。
「興奮するのも無理はないか。いい線まで行くだろうとは思っていたが、まさか優勝するとはな。よく頑張った」