男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
殿下はそう言って私を褒めてくれてから、口の端をニヤリと吊り上げた。
なぜか団長の息子の手から木刀を取り上げ、一馬身の距離を開けて、私に剣先を向ける。
「お前の強さを、直に感じてみたくなった。
ステファン、俺と剣を交えろ」
驚いて言葉の出ない私に、「早くしろ」と殿下は催促する。
観客たちは思わぬ余興に喜んでいて、クレマン団長は、やれやれといった顔をして、自ら審判を務めるために、隣の正方形の枠の中央に移動した。
大公殿下と試合をする流れとなり、戸惑う私も移動する。
これまでの試合とルールは同じで、私と殿下の胸と背に、新しいバラの花が付けられた。
「始め」の合図で、殿下の構える木刀に、私の木刀をぶつけてみる。恐る恐るというように。
心はまだ戸惑いの中にあり、全力で戦って、もし怪我をさせてしまったらと、それを心配していた。
その気持ちが伝わったのか、殿下の眉間に皺が寄る。
「なんだ、その生っちょろい攻撃は。本気で来い」
「し、しかし……」
「安心しろ。俺はお前より遥かに強いぞ。
お前の剣では、俺の髪の毛一本すら、傷つけることはできん」