男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
なんですって……?
ニヤリと笑って私をからかう殿下に、ムッとしていた。
団長と肩を並べるほどの剣の腕前だと聞かされているので、殿下が私より強いことは知っている。
それでも髪の毛一本、傷つけられないと言われるのは心外だ。
仮にも私は剣術大会の優勝者。百人の参加者の頂点に立つ者なのに。
プライドを傷つけられて、私の闘志に火がついた。
素早く動いて背中のバラを狙いにいくと、「おっと危ない」と殿下が身を翻えす。
その足元を薙ぎ払い、ほんの少しバランスを崩した殿下の胸のバラに、鋭い突きを繰り出した。
観客たちは大盛り上がりで、闘技場が揺れるほどの歓声に満ちている。
私の渾身の一撃は残念ながら届かず、払い落されてしまったが、殿下は満足そうに笑っていた。
「今の攻撃はなかなかだ。だが、詰めが甘い。連続で攻撃するなら、バラを散らすまで徹底的に斬り込め。こんな風にな」
「え?」
今まで私の好きなように攻めさせてくれた殿下が、今度は私を攻撃する。
体重を乗せた重たい木刀が振り下ろされ、それを受けとめる私の腕は、ビリビリと痺れるようだ。