男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
一撃の重みが、他の人と全然違う……。
これを何度も受け止めては、腕が持たないというものだ。
慌てて後退り、距離を開けようとするも、「どうした?」といわれる声を至近距離に聞く。
一歩で間を詰められて、破壊力のある斬撃を、私はまた正面から受け止める羽目になっていた。
手が痺れる……。
殿下の木刀が私の木刀を上へと薙ぎ払い、構えを崩された私の胸元はガラ空きに。
マズイと焦る暇もなく、あっという間に胸のバラがピンポイントで散らされていた。
クレマン団長の「大公殿下に一ポイント!」という声を聞いた私は、唇を噛みしめる。
悔しい……。
ここまでの力の差があるということは、決勝戦のような奇跡の大逆転は起こらず、きっと私は負けるだろう。
それを理解しても、このまま終わるのは嫌だった。
なんとしても一太刀、浴びせないと、優勝の喜びまで掠れてしまいそうだ。
木刀を握り直した私は、がむしゃらに斬りかかる。
振り払われても、弾かれても、何度も何度も休まずに。
なんとか殿下の懐に飛び込もうと、身を低くして攻め込み、下から上へと飛び上がるようにして木刀を振り上げた。
剣先はバラには当たらず、黒い棒タイを掠めただけ。
惜しかった……そう思ったとき、自分の胸が揺れたのを感じた。