男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
「ちょっと池を泳いでみたら、こうなっちゃった。悪いけど、沐浴の用意をしてもらえる?」
「あの池で泳ぐ人はおりませんよ。しかも服のままで入るとは、なにをやっておいでですか」
呆れ顔のジャコブと、苦笑いする私。
そうだろうね。ドロドロでヌルヌルして、少々臭いから、泳ぐのに適さない池なのはよく分かったよ。
服は脱ぐわけにいかないから、そこは追求しないでほしいけれど。
ジャコブは沐浴の準備に走ってくれて、私は廊下にポタポタ垂れる滴を気にしつつ、自室へと戻ってきた。
少し待っていると、ジャコブが大きな木桶を運び入れて、他の使用人たちも湯の入ったバケツを五つ持ってきてくれた。
ジャコブ以外の者たちは不満顔。
一階に沐浴場があるというのに、なぜ三階まで湯を運ばねばならないのだと言いたげだ。
沐浴場は貸切にできないからね。女であることを隠すためには、部屋で洗うしかないんだよと、心で事情説明しつつ、「ありがとう」とお礼の言葉のみ口にした。
廊下側のドアに鍵をかけた後は、ひとりで沐浴タイム。
ずぶ濡れの青の衣を脱ぎ、胸に巻いている布帯も外し、裸になって木桶の中に。
石鹸を使って体を洗い、バケツのお湯で泡と汚れを流していた。