男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました

「お兄様のことなら、心配いらないわ。だってアミルお兄様も、ステファンが大好きだもの。きっと喜んで下さるわ!」


それは絶対にない……とは、教えてあげられない。

どうしよう、大公殿下に相談しないと。でも、なんと言えばいいのやら。

『こんな迷惑のかけ方をするなんて……』と、心に呟きながら、遠くに見える、執務室の窓に目を遣っていた。


ボートから降りた後は、まだ続いているお茶会には戻らずに、リリィと分かれて屋敷の方へ。

夏の池には水草や藻がたくさん繁殖して、水がヌルヌルしていた。

当然、私の首から下もヌルヌルで気持ち悪い。

早く洗い流したいと思いながら玄関を潜ると、ちょうどいいところで、ジャコブと鉢合わせた。


ジャコブはかつての従者の格好ではなく、今は黒い執事服を着ている。

その理由は従僕から執事に昇格したからだ。

私がジャコブがいいと頼んだので、部屋を移ってからの世話係も彼。

しかし、大公殿下の寝室の続き間に出入りする者が従僕では……ということで、試験もコネもなしに、ジャコブは執事に昇格となっていた。


「ステファン様、一体どうなさったんですか!?」と、ジャコブは黒い目を見開いた。

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