男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました

殿下がホールから姿を消すと、急に貴族たちがあちこちに小集団を作って、ヒソヒソと話し始める。

また男色疑惑の話だろうか……。

エリーヌ嬢を振って、私と踊ったせいで、噂が真実味を帯びてしまいそうな予感がしていた。

殿下は気にするなと言ってくれたけど、私のせいだと思ったら、どうしても気にしてしまう。

一馬身ほど離れた場所では、三人の男性がワインを飲みながら立ち話をしていて、漏れ聞こえる会話に、つい耳を傾けていた。


「最近の都は、治安が悪い。邪視を持つ少年まで現れたと聞きましたぞ」


「邪視騒ぎは七年前にもありましたな。殿下の弟君が亡くなられた頃だ」


「あの頃のように、また凶事が立て続けに起こるのでは? ああ、恐ろしや……」


男色疑惑の話ではなかった。

都の治安が悪化している話しは、私も聞いている。

これでも一応青の騎士で、訓練のために詰所に出入りしているから、情報だけは耳に入ってくる。

城内での殿下の護衛以外、なんの任務にもつかせてもらえないので、残念ながら私が悪党と戦うことはないけれど。


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