男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました

しかし、邪視を持つ少年の話は初めて聞いた。

邪視がどういうもので、どう恐ろしいかも分からず、説明が欲しいところ。

七年前の話も気になる。

殿下は今日も変わらず黒い棒タイを締めていて、亡き弟の喪に服し続けている。

リリィに聞いた、殿下の髪色が変わったという話を思い出していた。

突然に弟を亡くしたショックで、髪色が一夜にして、金から銀に変わったという話を……。


邪視が、どういうものなのか。それと七年前のことがどう関係しているのか。

興味がくすぐられて、立ち話をしている男性たちに話しかけたくなっていた。

皿を置いて立ち上がる。

しかし、一歩踏み出したところで、別の男性に声をかけられてしまった。


グレーの燕尾服を着たキツネ目の男性で、歳は大公殿下と同じくらいに見える。

中背の細身の体型で、茶色の髪は顎下あたりで直線的に切り揃えられていた。


「大公殿下のお気に入りというのは、君?」


そう聞くということは、殿下と私が踊っていた姿を見ていないのだろう。

後から遅れて舞踏会にやってきたということか。


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