男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
ロドリグとは二度しか会っていないが、その二回とも、たくさん話を聞かされた。
彼がよく喋るという印象を私も持っているので、クロードさんの提案にすぐに賛成した。
「それはいい考えだと思います。私のことならご心配なく。顔を合わせぬよう、その時間は謁見の間に近づかないようにしていますから」
それでも殿下は私が心配なのか、難しい顔して考えていて、紅茶を注ぎ終えて椅子に戻ったクロードさんは、今度は私に話しかけた。
「ステファニー様、ロドリグ殿とふたりきりになったとき、なにを話されましたか?
邪視の件で、なにか疑わしいことを言っていたなら、今後もボロを出してくれると期待が持てるのですが」
そう言われて、十日ほど前の記憶を手繰り寄せる。
今回の邪視の件については、なにも話さなかった気がするけれど、七年前のことは話した。
殿下が邪視の少年を利用して弟を殺したなどと、どうしてあんな酷い嘘をついたのかと、私が詰め寄ったら、彼は……。
あのとき交わした会話を思い出し、なるべく正確に伝えようと試みた。
「確か、ロドリグ殿はこう言ってました。
『ああ、そうだったね。橋が切れて、邪視の子もろとも崖下に落っこちたんだっけ』と。それから……」