男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
これは馬に乗った殿下の一行の、並び順を表しているのだと気づく。
じゃあ、一列目に書かれた単語と数字は、こういう意味じゃないだろうか?
『三時課の鐘がなったとき、殿下の一行は、森に入る手前、千フィートの場所を通った』
つまり、殿下を尾行して、居場所や状況を誰かに報告している者がいるということだ。
その密偵を雇った誰かとは、まさか……。
鳩を撫でているハミンの肩を掴んで、こっちに顔を向けさせると、早口で問いかけた。
「この鳩を拾ったのはどこ?
どっちから飛んできたの?」
血相を変えた私に驚いているハミンだが、ちゃんと思い出して答えてくれる。
「えっと、殿下にダメって言われたけど、友達と遊んでたら、西側の大きなお屋敷の近くまで行っちゃって……。
鳩は東の方から飛んできたと思う」
「西側の大きな屋敷って、赤瓦の屋根の?」
「うん。目の前じゃないよ。ちょっと離れたところの、床屋さんの角のところ」
西側の赤瓦の屋根の大きな屋敷は、バルドン公爵の屋敷だ。
この鳩は殿下の後をつけている密偵から、バルドン公爵へと飛ばされたに違いない。