男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました

鳩の帰省本能を利用して、くくりつけた手紙を決められた場所に運ばせるという伝書鳩の話は、本で読んだことがあった。

でも実際に目にするのはこれが初めて。

急にこの鳩に対する興味が湧いてきた。


一体誰が、この鳩を飛ばしたのだろう?

この鳩はどこに向けて飛んで行こうとしていたのだろう?


医者が鳩の細い足に結び付けられていた、薄い紙を解いて、私に手渡してくれた。

読んでいいものかと迷ったが、好奇心に勝てずに、その小さな紙をそっと開いて読んだ。

そこには単語と数字と、記号のようなものが書かれていた。

一列目には『三、森、前、千』と、意味が分からない。

二列目は簡略した剣のような絵を丸で囲んだマークがふたつと、塗り潰した黒丸と、塗り潰さない白丸だ。

それらは、『剣、白丸、黒丸、剣』の順番に並んでいた。


隣から覗き込んだ医者が「はて、なんでしょうな?」と首を傾げている。

ハミンは治療を終えた鳩を撫でていて、この暗号文には興味がないみたい。

私は二度三度と読み返して、ハッとした。

この剣のマークは、青の騎士団を差し、黒丸は黒づくめの執事服を表しているのではないだろうか?

じゃあ残りの白丸は、殿下で……。



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