男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
ジャコブとはこれから三年間もの長い付き合いになるから、カッチカチのあの石頭を、少しずつほぐしてあげようと思いつつ、私はキャビネットを開けて着替えを始める。
ジャコブが付いて来てくれないのなら、ひとりで探検に行くまでだ。
今着ている服は、いかにも貴族のお坊ちゃん風だから、もう少しラフな、平民にも見えるような服を……。
若草色の上着と、胸元にヒラヒラと余計な生地のついたブラウスを脱ぎ捨てると、上半身は裸に白い布帯を巻いた姿になる。
グルグル巻きにした帯で胸を潰しているのは苦しいけれど、女だとバレてはいけないから、これは我慢するしかない。
でも、飾り気のないシンプルな綿の白いブラウスと、深緑色のベストという姿になれば、動きやすく涼しくもなり、胸の圧迫感もさっきよりはマシに感じられた。
キャビネットの横にある鏡に顔を映して「よし」と頷いた後は、ドアを開けて廊下の左右を確認する。
数人のメイドが行き来していて、その姿が消えるのを待ってからこっそり抜け出した私は、北側の階段を使って一階まで駆け下りた。